「Prometech Techno Forum 新春お年玉セミナー」レポート・アンケートQ&A


 2011126日に0126n.pngParticlebased Simulationの最前線 粒子でモデル化できればシミュレーションの常識が変わる」をテーマとした弊社主催イベント「Prometech Techno Forum 新春お年玉セミナー」を名古屋で開催しました。

粒子法の活用例を交えた最新の技術動向や最先端の研究について各講演者様よりご講演いただき、活発な質疑応答も行なわれ活況なセミナーとなりました。

予想を上回る多くの方にご来場いただき、会場が狭くなってしまうなど、ご迷惑をお掛けした点もありましたが、ご来場者、関係者の皆様にご協力いただき、最後の懇親会まで盛況に終えることができました。ご協力いただきました皆様に、心より御礼申し上げます。

アンケートにつきましても、ご来場者113名のうち、101名の方にご協力いただきました。その中には、各講演者様への質問も多く、皆様の研究、開発に対する熱い想いを知ることができ、弊社の製品開発、技術力の向上に活用させていただくとともに誠心誠意取り組んで参りたいと思います。

なお、各講演者様より質問に対する回答をいただきましたので、抜粋して掲載させていただきます。皆様の今後の取り組みに活かしていただければ幸いです。

※講演資料は参加申込をされた方に限り配布させていただいておりますが、資料をご希望される場合には下記よりお問い合わせいただきますようお願い致します。

お問い合わせフォームhttps://www.prometech.co.jp/form/inquiry.html



◆東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 教授 越塚誠一 先生 
粒子法勉強会「粒子法(MPS法)入門講座」
         
Q1. 粒子ベースでないメッシュレス法とは、どういう関係にあるか気になっています。粒子法の位置付けは、メッシュレス法と比べてどうなっているのでしょうか。
 越塚誠一「粒子法」丸善(2005)では、格子を用いることなく微分方程式を一般的に離散化する方法で、かつ、決定論的な過程のみを用いる方法を「メッシュレス法」と呼んでいます。そのメッシュレス法の中でラグランジュ法をとくに「粒子法」と呼んでいます。
 メッシュレス法の中で、最小二乗法を用いることで格子を使わずに微分方程式の離散化をおこなうのがグリッドレス法です。グリッドレス法はオイラー法として用いられるので対流項を計算する必要があります。
 構造解析では最小二乗法を用いるメッシュレス法はエレメントフリーガラーキン法(Element-free Galerkin Method, EFGM)と呼ばれています。

Q2. FEMでやるような興味の対象部位のみ、粒子径を細かくするような扱いは粒子法で可能なのでしょうか?あるいは、基礎アルゴリズム的に不可能なのでしょうか?
 研究としては、部分的に細かい粒子を用いる手法が開発されています[1]。
ただ、FEMよりも複雑な手順が必要です。
[1] 田中正幸, 益永孝幸, "疑似圧縮性効果によるMPS法の安定化と圧力の平滑化" 日本計算工学会論文集,No.20080025 (2008)

Q3. 3次元への応用への注意点、DEM-MPS系でDEM粒子に力をどのように与えるのか教えてください。
 3次元では粒子数がどうしても多くなってしまうので、粒子数が計算機の能力を超えないように計算体系を調節するなどの工夫が必要になる場合があります。DEM-MPS系においてDEM粒子にどのような力を与えるかについては、例えば[2]をご参照ください。
[2] 酒井幹夫, 越塚誠一, 豊嶌至, "DEM-MPS法による自由界面を伴う固液混相流の数値解析"粉体工学会誌 45(7), 466-477 (2008)

Q4.  微小すき間の流れにも適用可能ですか?音速に近いスピードと思われます。
 微小すき間に粒子が十分流入できる程度まで粒子径を小さくして解析する必要があります。その場合に、領域全体の解析に必要な粒子数が多くなりすぎると計算が難しくなります。 流速が音速に近くなると、流体の圧縮性を考慮した解析が必要になります。そのような場合にも適用できる
粒子法の計算アルゴリズムは既に開発されています[3]。
[3] 新井淳, 越塚誠一 "粒子法に基づく圧縮性・非圧縮性流れ統一解法"日本計算工学会論文集,No.20080008 (2008)

Q5.  映画「海猿3」において、石油が噴出する様子を粒子法でシミュレーションした解析(プロメテック協力)は台風の影響が入っていますか?また、それは可能ですか?

 油が噴出するシーンでは台風の影響は入っていません。数秒ごとに変化する風([x y z]方向、m/sec)のパラメータは与えています。また、このシーンでは映像用の高速MPSソルバを使用しており、これはエンジニアリング用のMPSソルバ(Particleworks)とは別の物で、映像用に計算を簡略化し、高速・大規模解析対応にしたものです。
 台風の影響を計算することは現状のParticleworksでは難しいのが現状です。どういった設定(入力パラメータ)が必要かにもよると思いますので、詳しくは別途プロメテックまでご相談ください。

Q6. DEM粗視化について
①粗視化の度合いの限界(どれぐらいの粒子とひとつにまとめられるのか)を教えてください。
長距離粒子間相互作用(静電など)があるとどれくらい変化しますか?
②    粗視化度合の空間分布を変えて計算できますか?(複数レベルの粗視化粒子がある時にDEMは可能ですか?)

①    粗視化は3~5倍くらいが従来の研究では用いられています。粗視化率を大きくしていった場合、すなわちDEM粒子径を一定として実際の粉体の径を小さくしていた場合、静電力や粘着力などの力の影響が現れるようになり、粉体間の衝突や流体との摩擦に関する粗視化モデルだけでは不十分になってきます。
②粗視化レベルを変えて計算することは原理的には可能です。実際には、異なる粒子径の粉体の混合物を扱いたい場合に必要になってくると思います。

Q7. 構造解析にて粒子間はバネに置き換わるとの事ですが、クラックなどはどのように表現するのですか?
 構造物の中にクラックが生じる場合(破壊が生じる場合)、クラックを挟んだ粒子間の接続関係を切ります。

Q8. 磁気力を持った粉体成形を扱っています。これらの連成が出来るか教えてください。
 粉体成型では、粉体をDEMで、連続体をMPSで計算することができると思います。このようなDEM-MPS連成解析は研究室で研究しています。ただし、磁気力については考慮しておりません。考慮することは可能であると思います。

Q9. 毛細管現象のような問題を解けるのでしょうか?

 毛管現象では、表面張力と濡れ性を考慮する必要があり、どちらも粒子法の計算方法が開発され、Particleworksの中にも既に組み込まれています。

Q10. キャビテーションのような気液二相流現象の解析は可能でしょうか?また圧縮機内の油上がり、滑り軸受内の油切れへの粒子法の適用も可能でしょうか?異なるサイズの粒子を混在したモデルは可能ですか?
 キャビテーションには様々なタイプがあると思います。原理的には相変化を伴う二相流であり、粒子法に適した問題と考えられますが、これまでの適用実績は少なく、今後の課題であると考えています。
 粒子法は自動車用変速機内のオイルの掻き揚げ問題に適用されており、圧縮機内の油上がりや滑り軸受内の油切れが類似の問題であれば、一般論として解析に適していると考えられます。具体的には問題の詳しい条件等が分かりませんと判断が難しいところと思います。研究としては、部分的に細かい粒子を用いる手法が開発されています[1]。
[1] 田中正幸, 益永孝幸, "疑似圧縮性効果によるMPS法の安定化と圧力の平滑化" 日本計算工学会論文集, No.20080025 (2008)


◆プロメテック・ソフトウェア株式会社 執行役員 川上 浩 
 「MPS法実用化への道 GPUコンピューティングは粒子法普及に役立つのか?」

Q1. 金型成形に見られる再配列の現象をFEMに無理に取り込もうとしています。特にMPSであったDEMとの連成での、最新動向や技術論(連成レベルなど)を教えてください。
 MPSとDEMの連成につきましては2011年6月にリリース予定のParticleworks Ver.3.0から搭載予定となっています。こちらのバージョンではMPSとDEMの双方向連成が可能となります。

Q2. 粒子法でガラスの高温状態から常温状態まで(高粘性→粘弾性→弾性)、統合して扱えるのか教えてください。
 現状では高粘性流体として扱うのみとなり、統合して扱うことができません。

Q3. 静電界中にある誘電体粒子に働く力もSPH、MPS、DEMで解析できるのでしょうか?
 おそらく、MPS、DEM単体での解析は難しいかと思います。ただし、静電場の解析を別の手法で求めて、MPS、DEMと連成する(外力として与える)という方法であれば可能と思います。

Q4. 最適化との組み合わせは可能ですか?実績はありますか?
 弊社ではございませんが、粒子法のパラメータを最適化と組み合わせて決定されたというお客様はいらっしゃいますので、おそらく可能ではないかと思います。

Q5. 粒子法における材料特性情報等の必要内容、実測可否を教えてください。
 ミクロ、マクロケミカルの世界は、今後の日本を背負う分野だと思います。材料の流動に必要な材料特性としては密度,粘度,比熱,熱伝導率(ともに熱解析を行う場合)となります。私どもで受託解析を実施させていただく場合にはお客様からそれらの物性データをいただいておりますので、おそらく実測は可能と思います。(弊社では実測はできません。)

Q6. 磁界中での粉体の成形を扱っています。磁気力を含めた連成解析は可能でしょうか?液体と粒子の混相で、ろ過現象を扱っています。このような解析は可能でしょうか?
 磁場解析との連成につきましては、まだ着手できておりませんが、磁場解析を別の手法で解析を行って連成するという方法ならばおそらく可能と思います。6月にリリース予定のParticleworksVer.3.0ではMPS-DEM(離散要素法)機能が搭載されますので、こちらで可能になります。

Q7. 本日は混相流の事例が多かったのですが、単相流(等温、非等温)や、圧縮性流れ(単相流/多相流)の事例があればご紹介ください。またポスト処理も市販のポストで得られるようなコンタ―図、ベクトル図などは出せるのでしょうか?
 単相流の事例としましては、弊社WEBに角柱周りの乱流解析の動画があります。粒子法(MPS法)を用いた圧縮性流れについては研究レベルでは実施されていますが、まだ実用化には至っていない状況です。ポスト処理につきましては、粒子のコンター図、ベクトル図を出力することは可能です。また、結果処理用の格子に各粒子の結果をマッピングすることにより任意断面での結果を表示することも可能です。


◆横浜国立大学 教育人間科学部 教授 酒井 譲 先生
基調講演「SPH粒子法の基本的概念と新しい構造解析の最前線」

Q1. DEMとSPHのハイブリッド解析に興味があります。粉体圧縮時のDEMとSPHのハイブリッド法について、個々の粒子について使い分けの評価基準を教えてください。また論文や本などハイブリッド法に関する文献を教えてください。
 SPHとFEMのハイブリッド解析は海外においていくつか研究例がありますが、DEM とSPHのハイブリッド解析は、いままで研究された実績がほとんどなく、横浜国大における粉解析への適用がはじめてと思います。そのため、研究論文、研究資料の類は、紹介できるものが無く、現在、本研究室において正論文を作成しております。

Q2. 熱伝導で接触抵抗はどう扱っているのか教えてください。
 熱伝導問題について、かなりの解析事例があります。接触抵抗現象に関しては、摩擦接合解析に
おいて摩擦発熱を計算しそれを発熱源として解析しています。この解析では、回転体とその周囲の固体との摩擦現象の理論式を用いて発生熱量を計算し、固体部分への伝熱解析をしています。

Q3. 粒子法は振動騒音問題(主に自動車)に適していますか?

 空気との連成振動解析などの具体的な振動騒音解析の実績はまだありませんが、FEMにくらべ複雑形状の問題に関しては、SPHに優位性がかなりあると思われます。

Q4. FEM相当のマクロな解析を行なう場合、材料データは応力-ひずみ関係、ポアソン比などFEMと同じデータでしょうか?ウレタンなど圧縮性が高い時も同様でしょうか?
 固体解析における材料データは基本的に、FEM解析とまったく同様のものを用いています。非線形アルゴリズムもFEM解析とほぼ同様です。圧縮性のある材料に関しては、変形後の材料に関して、密度のみが変化するのであれば、そのまま計算できます。密度変化後の物性値が変化する場合は、密度をパラメータとした材料物性値があれば解析は可能です。

Q5. 多原子によって構成されて材料化・部品化された物体の解析は可能でしょうか?SPHには、分子動力学法(MD)的な概念も入っているのでしょうか?

 合金という意味でしたら、マクロ化した(均質化)材料データを用いることになります。あるいは組織的に、A金属、B金属、C金属がそれぞれモザイク状に分布しているような場合は、私の講演資料(組織解析)のような、手法、金属顕微鏡、電子顕微鏡写真などを用いたモデル化と解析が可能です。
SPH法とMDは直接的な関係はありません。しかしナノレベルの解析において両者が融合する解析研究が目指されています。
 
Q6. 粘着材(粘弾性体)の切断シミュレーション(テープなどの切断)は、SPH法で可能でしょうか?
 解析可能だと思います。プラスチック材料、粘性材料の破壊解析は実績(多くはありませんが)があります。

Q7. 従来のFEMによる解析(メッシュ生成をのぞく)と粒子法による解析を比べた場合、計算コスト(求解時間やメモリ使用量)にどの程度の差が出るかについて、差支えのない範囲で教えてください。
 解析レベルでは、同精度の解を求める場合、FEMにくらべ、粒子寸法が小さくなるため、2次元問題で、解析時間、メモリともに2倍~3倍、3次元問題では2の3乗の8倍くらいは多くなります。またFEMのようなメッシュ寸法を自由に変化させることはできないため、解析時間は3次元問題ではFEMよりだいたい1ケタ大きくなります。現状ではGPU化により、解析時間の短縮を実現しています。

Q8. 粒子法の解析には時間を要すると考えていたのですが、流体解析と比較した場合は、どの程度異なるのでしょうか?(モデルによりますか?)

 粒子法解析では、一般にFEM,FDMに較べて解析寸法(粒子寸法)が小さくなる(メッシュ・サイズにくらべ)ため、解析時間は大きくなります。

Q9. ギアのかみ合いによる応力解析は可能でしょうか?
 ギア噛みあい解析はおこなったことはまだありません。しかし、解析は可能(弾性、あるいは弾塑性解析、接触解析)だと思います。私どもも移動接触解析例として興味はあります。解析モデルがあれば(stlファイル)、試計算を行なってみてもいいです。

Q10. き裂は何mm程度の表現が良いのですか?また注意点等ありますか?有限要素であったΔtとの関係はありますか?接点距離でΔtが小さくなりますか?
 き裂の寸法に制限はありません。粒子寸法が小さければ小さいほど精度が上がるのはFEM解析と同様と考えていいと思います。き裂解析の本体モデルの寸法によりますが、非常に精密な機器の解析では 0.1mm以下のかなり大きな解析体の場合でも数mm(1mm程度が推奨)の粒子寸法を用いた解析が望ましいでしょう。
 また粒子寸法を小さくすると、時間増分値は小さくする必要があります。

Q11. はんだで接合された金属に、加熱のON-OFFを繰り返した時に、はんだにき裂ができますが、そのき裂の進展を予測することは可能でしょうか?

 熱応力によるクラック進展、と考えるなら解析は可能です。ほかにクラック進展の駆動力が考えられる場合は、その駆動力を導入するアルゴリズムを付加することになります。

Q12. ゴムと樹脂の混合物で、例えば温度を加えて樹脂を析出させるような現象の解析は粒子法で可能でしょうか?

 樹脂が析出する力学的な条件が、偏微分方程式の形で用意されていれば可能と思います。樹脂がモデルの中を移動するための駆動力の式があれば、2次元、3次元解析が可能でしょう。

 
◆株式会社アールフロー 代表取締役 竹田 宏 様
 「粉体シミュレーション最前線 粉体解析の最近の動向」

Q1. 流体と粉体の連成解析では、流体の速度などは有限体積で計算されるのでしょうか?流体の定常解を求めてから粉体を投入するイメージでしょうか?
 流体の速度は差分法(有限体積法)によって解析しています。流体計算の後、粉体解析を行うのではなく、流体と粉体を連成して同時に非定常で解析していきます。

Q2. 非常に興味深い、スラリーの流動性解析に適用可能でしょうか?
 可能かと思いますが、スラリー粘度が適切に再現されるかどうかは、やってみないとわからないという感じです。場合によっては、摩擦係数等を振って合わせるということが必要になるかも知れません。

Q3. 水分が関与する液架橋の凝集・付着力の辺りに興味があります。粉体に液架橋の付着力を考慮する例について・・・水の粒子自体をモデルに入れているのか、固体間に液架橋力のみを入れているのか教えてください。
 付着力をモデル化の上、式として組み込むこともできますが、先だってご覧いただいた解析例では、すべて、付着力の値そのものを入力パラメータとして与えています。したがって、計算上は液架橋と固体架橋の区別はありません。パラメータについては、安息角あるいは自然充填状態におけるかさ密度が実際に合うように試行錯誤的に決めています。

Q4. どのような分野での適用が多いですか?
 RFLOWのお客様は化学関連が多いため、必然的に化学工学分野での適用例が多いですが、自動車もあります。

Q5. 内燃機関のガスの爆発のようなシミュレーションは可能でしょうか?
 爆発の解析の経験がないためはっきりとしたことはわかりませんが、化学反応式が定式化できれば、原理的には可能なように思います。

Q6. 液体と粒子の混相でろ過現象を表現したいのですが、可能でしょうか?
 ろ過の解析は行ったことがあります。

Q7. 流体の計算はどうやっているか教えてください。粒子の連成は強or弱ですか?
 流体は、メッシュを用いて差分法(有限体積法)で解析しています。流体の解析は、オイラーオイラー混相流解析と同じになります。連成は双方向的でいわゆる強連成になります。

Q8. 付着力がある場合で粒子の大きさに影響があると思うのですが、代表粒子モデルは使えるのですか?
 相似則を用いて変換をかけています。

Q9. 気液二相流の解析はできるのでしょうか?
 気液二相流の解析もできますが、気液2相流の場合には粒子間接触が重要な働きをすることはそれほど多くないため、あえて粒子(気泡)側を離散化したラグランジュ解法を用いるメリットがないことが多いです。粒子間接触が重要な働きをしない現象の場合には、RFLOWでも、通常より計算時間の短いオイラーオイラー混相流モデルを用いています。


◆株式会社JSOL エンジニアリング本部 課長 宮地 岳彦 様
 「SPH法を中心としたメッシュレス構造・流体連成解析 LS-DYNA最新情報」

Q1. SPHとFEMを連成させたときの計算コストはどれぐらいかかりますか?
  連成計算自体のコストは大きくありません。(通常のペナルティコンタクトと同様です)連成領域にも拠りますが、通常の接触と同程度と考えていただければ結構です。

Q2. 粉体を押すシミュレーションは可能でしょうか?攪拌解析で液体の粒子の混相を表現できるのでしょうか?
 粉体をどのような材料と仮定するかによりますが、SPHでは連続体(構造もしくは流体)として仮定していますので、それに従った挙動を求めるのであれば可能です。すなわちせん断の非常に低い、土のような材料モデルを用いれば粉体としての表現(MAT_5など)は可能です。一方、アールフロー様の講演のように、一つ一つの粒子を粉体の一粒一粒と表現し(あるいはそれを粗視化し)、その間をバネでつなぐようなモデル化は出来ません。その場合は個別要素法を用いることが多いと思われます。

Q3. SPHはΔtを決める時は接点間距離で決まるのでしょうか?
 δt節点間距離ではなく、スムーズ長で決まります。通常の有限要素法の要素代表長に相当するものをスムーズ長とし、材料中の音速で割ったものがδtになります。


◆エイシーティ株式会社 代表取締役 山縣 延樹様
「SPH粒子法のバイオメカニックス分野への応用」

Q1. 有限要素法と粒子法では結果の違いがどういった処で起きるのか教えてください。
 先ず、有限要素法も粒子法も近似解法であり、その近似の度合いにより結果が変わってきます。
私が説明致しましたバイオメカニックス分野では、例えば人体を考えますと骨、筋肉、神経、血管、その他の部位等、多くの異なった物質、材質より構成されています。この複雑な形状でかつ多種の異なる部位から構成されている人体を、有限要素法、或いは粒子法を使用し、正確にモデル化することは極めて大変でございます。現実的に解析を可能とするため、領域を区分し、例えば各部位ごとの挙動(弾性体、粘弾性体、粘性流体等)を精度よくモデル化し、近似度を上げていくことが、先ずは必要と思います。
 形状が複雑であるため、CT、MRIの画像データから解析に用いる3次元形状を構築する方法は、有限要素法、及び粒子法は基本的には同じような手法を用いています。(例えば、有限要素法の例:弊社のDICOM2FE、粒子法の例:SPH Medical Solution System)
 違いは、材料の設定方法が考えられます。有限要素法(DICOM2FE)の場合、材料物性はグレースケールの強さにより直線的に比例すると仮定し、要素毎に設定しています。 一方、粒子法(SPH Medical Solution System)では、CT/MRI画像データの輝度値そのものが解析用粒子データとなるため、容易に物性値を設定することが出来ます。 この設定方法の違いにより、結果に影響を与えると考えられます。 また、もちろんのことですが、有限要素法ではメッシュの分割方法、分割数、使用する要素等、また粒子法では粒子数、影響半径等により結果に影響を与えます。