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日刊海事通信 平成16年12月10日(金)(8面)
海事4機関、波浪衝撃の解析を高度化
国際競争力強化へ、ユーザー初会合

 鉄道・運輸機構と東京大学、横浜国立大学、海上技術安全研究所は9日、新しい技術を用いて船舶の波浪衝撃を解析する手法を開発し、これを利用・改良するためのユーザーグループを結成すると発表した。船舶の甲板に波が打ち込む挙動を解析し、荷重と船体への損傷を精度よく計算。造船産業の国際協力強化に貢献する。初会合が16日に三鷹の海技研で開かれ、主要造船各社や研究者などメンバー約50人が参加する。
 共同開発したのは粒子法と呼ばれる新しいシミュレーション技術を用いた船舶の波浪衝撃解析コードで、数値を入力することで計算を行うプログラムとなっている。鉄道・運輸機構の資金7,000万円程度を活用し、大学、研究所が3ヵ年で開発を進めてきたもので、2004年度が最終年度。
 粒子法を用いると、大きな波が船舶の甲板に打ち込む挙動を計算することができる。甲板冠水と呼ばれ、荒天時に航行する船舶に生じる現象で、荷重により船舶が損傷することがあり、最悪の場合沈殿にいたる。1980年に英国の大型貨物船"ダービシャー号"が沖縄沖で台風に遭遇。甲板冠水による損傷で沈没した際は乗組員全員が死亡する惨事となった。
 甲板冠水による荷重、損傷を予測するため、粒子法を用いた波浪衝撃解析コードを開発。海技研で実施した実験の条件で計算を行った結果、甲板冠水の挙動をうまく解析することができた。粒子法を用いることで、はじめて複雑な水の挙動を計算できるようになり、その精度も検証済み。
 「粒子法コードユーザーグループ」の主なメンバーは、造船各社やソフトウェア会社、大学などの研究者。コードは荒天時における船舶の安全性の向上や推進性能の向上など、高付加価値の造船技術の開発にコードを利用できる。
 現在流通している流体解析や構造解析の商用コードのほとんどすべてが欧米で開発されたもの。学術的には世界最先端レベルにある一方、産業として遅れを取っている科学技術計算分野で成果が期待される。今後の利用・改良次第で、日本の造船産業の国際競争力強化にも貢献しそうだ。